明日は防災の日、BCP策定の必要性について

もう8月も終わりですね。
9月1日は防災の日。これを機会に自社のBCP・BCMの必要性について考えてみても良いですね。

目次

BCP・BCMとは

BCPとは事業継続計画のことです。
大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のこと、とされています。

BCMとは事業継続マネジメント。
BCP策定や維持・更新、事業継続を実現するための予算・資源の確保、対策の実施、取組を浸透させるための教育・訓練の実施、点検、継続的な改善などを行う平常時からのマネジメント活動のこと。経営レベルの戦略的活動として位置付けられています。

やるべきことは?

色々な面でBCPは必要ですが、今回は社労士的観点からやっておくべきことを纏めてみました。

従業員の雇用への影響

大災害が起こると建物の崩壊、交通機関や物流の停止などにより通常の業務ができなくなってしまう
ことが考えられます。
その場合に備えて在宅勤務やサテライトオフィスの準備、交代勤務制の導入など柔軟に勤務できるよう
制度を整えておくと良いでしょう。
もちろんそれが難しい業種もありますし、通信手段も断絶されるかもしれません。
何か代替策はないか平常時から検討しておくことが大切です。

休暇制度の新設

従業員の自宅も被害に遭ってしまえば仕事どころではなくなってしまいます。
その際に使える特別休暇制度を設けても良いのではないでしょうか。
通勤ができなければ自宅のある地域で復旧のボランティア活動をするための「ボランティア休暇」
などは地域貢献にもなります。

役職者等の権限委譲・代替要員確保など

場合によっては重要な決定権を持つ役職者が被災してしまうかもしれません。
その際に他の誰にも決定権がなければ業務は滞ったままになってしまいます。
そうならないためにも役職者の権限委譲、代替要員の確保、体制変更、人事異動が必要になるでしょう。
代替要員の確保・人事異動の際は教育訓練も必要になってきます。
スムーズに行えるよう各部署での連携や業務内容についてもお互いに認識しておくと良いですね。

情報提供

BCPに沿って行動してもそれを情報発信しなければ取引先への影響も大きくなります。
完全復旧していなくても代替措置で補える、サービス提供はできます、と発信できれば
取引先も安心しますし、そのような体制がきちんと整備されていることが評価にも繋がります。
そのためにも日頃から情報のバックアップは重要です。
情報発信することで近隣の同業他社との相互支援ができるかもしれません。
また、従業員も不安を抱えているので現状をタイムリーに発信することで会社への信頼感も増します。

マニュアル・チェックリストの作成

どのように進めて行けば良いか不安な場合は、内閣府防災担当のガイドラインを参考に
してみるのも良いでしょう。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/pdf/guideline202303.pdf
詳しく説明が記載されています。

想定外の大災害も多くなっています。
完璧なBCPを策定するのは不可能です。
改善を繰り返しながら従業員に周知していく必要があります。

まとめ

まずは従業員の方の安全確保が一番です。
物資配給や待機できる場所も必要です。
計画するには予算、教育訓練の実施など現状では難しいかもしれません。
事業を中断させない、短い期間で復旧させるためにも、まずはこの機会に
何か一つでも取り組んでみてはいかがでしょうか。

中小企業BCP策定運用指針 https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/index.html

内閣府 令和元年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/topics/pdf/r2_jittaichousa.pdf



著者のイメージ画像

伊藤 明子

大学卒業後、都市銀行本店営業部に配属。学生時代に税理士を目指していたこともあり税理士法人へ転職。育児専念期間中にファイナンシャルプランナー取得。その後別の税理士法人に勤務しながら社会保険労務士資格を取得し、2022年4月開業。