育児休業にまつわる注意点
前回、大きく改正された育児休業制度について纏めましたが、実務においての
注意点がまだありますので今回はその部分についてお伝えします。
目次
法令を上回る育休期間を設定している場合
育児・介護休業法では原則として1歳になるまでの期間、育児休業が取得できると定めています。
中にはこれを上回る育休期間を設定している会社もあります。
3歳まで取得できる、と定められているケースなどがそれにあたります。
就業規則はどのように変更するか
このように法令を上回る育休期間を設定している場合、就業規則はどのように変更すれば
良いでしょうか。
今回の改正で分割取得が可能となったので就業規則では、
「1歳までに2回分割取得可能・1歳から1歳6ヶ月までに1回・1歳6ヶ月から2歳までに1回・
2歳以降は3歳まで延長できることとする」
と細切れに規定しておく方が良いと思います。
給付金支給は原則1歳まで
従業員の中には3歳まで育休取得ができるのであればその間ずっと給付金がもらえると思っている
方もいらっしゃるかもしれません。
育児休業給付は原則1歳までとなっており、保育所に入れず復帰が難しい場合の延長期間も
支給されます。
その期間とは再延長できる2歳までとなっているので注意が必要です。
当初から3歳まで育児休業を取得すると申し出ている場合は、1歳の時点で保育所へ入所
させることがないので、1歳以降の期間は延長には該当せず、給付金の対象とはなりません。
そのため先ほど就業規則の所でも述べたように細切れに申請することになります。
延長申請をする際に保育所に入れなかった証明が必要になりますが、最近待機児童の問題が
少しずつ解消してきていることもあり、申し込んだら入所できる場合も少なくないようです。
そこでまだ育児休業を取得したいため入所を断ると、次回復帰に向けて入所させたいと思った際に、
自治体によっては点数が低くなってしまい入所できる保育所が見つからないこともあると聞きます。
育児休業給付金はその従業員だけでなく家族全体に関わってくるので、取得する際はスケジュール
管理を徹底し、不明な点は自治体に直接聞いてみることも必要です。
出生時育児休業中に退職した場合
あまり起きてほしくない事例ではありますが、今回新たに制定された出生時育児休業中に
被保険者・受給予定者が退職した場合はどうしたら良いでしょうか。
本人申請又は転職先の事業主が申請
給付金の申請は本人か転職先の事業主がすることになります。
離職前の事業主ではありません。
申請はしませんが、「休業開始時賃金月額証明票」を被保険者に交付する必要があります。
まとめ
実務に携わっていると今回の改正により更に手続きが複雑になったと感じます。
先ほども書きましたが休業予定のスケジュール管理・従業員自身で自治体に確認してもらうこと
など綿密に話し合うことが大切ですね。