ビジネスケアラーの支援について

ビジネスケアラーという言葉を頻繁に耳にするようになりました。
仕事と介護を両立中の方が急激に増えています。
この増加により2030年には経済損失額が約9兆円に迫るそうです。
早急に支援の必要がありますね。

目次

なぜ両立が難しいのか

介護は育児と違い、突然発生する場合もあります。そしてどのくらいの期間になるか確定するのも難しいです。
出産となると嬉しい出来事なので周りに報告しやすいですが、介護はなぜか言い出しづらく通常の
有給休暇を使っている方もいると聞きます。
なぜ言い出しづらいのでしょうか。
親世代を介護するのは40~50代の働き盛りの方が多く、年齢的に組織の中で管理職になっており
思うように休めないということが大きいようです。
また自分が休むとなると周りへの影響やキャリア形成についても考えてしまい、言い出せず
抱えてしまうケースが多いです。

企業側で準備しておきたいこと

従業員から報告がなければ企業側がその状況を把握するのはとても難しいです。
そのためにもオープンに話しやすい雰囲気作り、自社の制度の周知が大切です。
例えば、
・法定を超えた休業や休暇の整備
・介護支援サービス等の福利厚生の整備
・社内に気軽に相談できる窓口の設置
・仕事と介護を両立するうえでの課題を共有
・セミナーなどでわかりやすく説明する
などそのような状況になっても安心だ、と知ってもらうだけでも違うと思います。

また、介護の状況(施設に入っているのか、自宅で介護しているのか)によっても
働き方は変わってきます。
短時間にすればOKというわけでもありません。
これまでと同じような働き方をしていくことが本人にとってストレスなく生活していける
場合もあります。
これを把握するためにはやはり従業員の話をよく聞くことが大切です。

お金の問題

仕事と両立するには公的な介護サービスだけではまかなえず、保険外のヘルパー利用も必要で
その料金も介護される本人の年金では足りず、介護する側の負担が生じる場合もあります。
仕事をするために出費が嵩んでいくことになるのです。

介護休業給付金

介護休業中は無給になることが多く、経済的支援として雇用保険から支給される「介護休業給付金」が
あります。ただし注意していただきたいのは、支給単位期間において11日以上就業したら支給対象と
ならないことです。
また、介護休業が終了してから給付金が支給されるため休業期間中の収入確保が課題となってきます。
こういった場合は民間の保険会社が出している介護保険を活用するのも良いでしょう。
公的な介護保険はサービスの提供となりますが、民間保険は現金で受け取れます。

まとめ

先の見えない介護は本当に不安です。
仕事or介護ではなく、自分自身の時間も必要です。
誰にでも起こりうることなので貴重な人材を手放さないためにも再度自社の制度を見直してみては
いかがでしょうか。

東京都産業労働局【あなたの会社の環境チェック】
https://www.katei-ryouritsu.metro.tokyo.lg.jp/kaigo/g-7-1/index.html

厚生労働省 介護休業についてhttps://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/closed/index.html

著者のイメージ画像

伊藤 明子

大学卒業後、都市銀行本店営業部に配属。学生時代に税理士を目指していたこともあり税理士法人へ転職。育児専念期間中にファイナンシャルプランナー取得。その後別の税理士法人に勤務しながら社会保険労務士資格を取得し、2022年4月開業。