6月3日より年度更新の受付が始まります                                  スポットでのご依頼もお気軽にお問合せください

年に1度の労働保険年度更新。
本記事では、年度更新の手続きを解説いたします。
まず年度更新とは何か、その概要や対象者、手続き方法や必要書類、電子申請と紙申請の進め方にも触れていきます。

目次

1. 年度更新とは

1.1 概要

1.1.1 労働保険の年度更新とは

労働保険の年度更新とは、毎年事業主が労働保険料を申告し、精算する手続きです。
労働保険には労災保険料と雇用保険料が含まれ、これらを一括して計算します。年度更新は毎年6月1日から7月10日までの間に行われます。ただし、正確な期間は年度によって若干異なる場合がありますので、最新の情報を確認するようにしましょう。

1.1.2 申告対象者

年度更新の申告対象者は、労働者を雇用するすべての事業主です。アルバイトやパートタイムの労働者を雇用している個人経営の店舗も対象に含まれます。

1.2 提出義務

1.2.1 対象となる企業・事業主

先程述べたように労働者を雇用するすべての事業主が対象です。
事業主には年度更新の提出義務があり、これを怠るとペナルティが科される可能性があります。

1.2.2 ペナルティ

延滞金や追徴金が発生する可能性がありますので必ず期限内に行うようにしましょう。

2. 年度更新の手続き

2.1 概要

年度更新の手続きは労働保険の適用事業所が毎年度行う必要があります。この手続きは、前年度の労働保険料を確定し、新年度の労働保険料を概算で申告する作業です。年度更新の手続きは、企業の労働保険に関わる重要な業務の一つです。

2.1.1 手続きの流れ

手続きの流れは次のようになります。

①年度更新申告書が届く
②前年度の労働保険料を確定
③新年度の概算保険料を計算
④申告書に記入
⑤提出及び納付

年度更新の手続きについては、
厚生労働省 労働保険年度更新に係るお知らせ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/roudouhoken21/index.html
でも詳しく説明されています。

2.1.2 必要書類

年度更新手続きを行う際には賃金台帳など労働者へ支払った賃金が分かる書類が必要です。
これらの書類は適切に管理し、いつでも確認できるようにしておくことが重要です。

2.2 電子申請

2.2.1 電子申請システムとは

電子申請システムは、インターネットを利用して手続きを行うためのシステムです。書類の郵送や持参の手間を省くことができ、手続きの迅速化が図れます。電子申請を利用することで、申請の手続きがよりスムーズになります。

2.2.2 利用方法

①「e-Gov電子申請」から該当手続きを検索します。
②ユーザーIDとパスワードでログイン
③必要情報を入力・確認
④申告書を作成・送信
⑤電子納付を実施

操作方法は、厚生労働省 労働保険電子申請操作マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/sinsei/tetuzuki/e-gov/dl/rouho_k01.pdfで確認できます。

2.3 郵送や持参による申請

2.3.1 提出先

年度更新の申告書類を提出する場合の提出先は下記のようになります。
労働局や労働基準監督署に提出する場合は必ず管轄の労働局・労働基準監督署を確認してから
提出しましょう。

参照:厚生労働省 申告書の提出、保険料・一般拠出金の納付の方法
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/kakikata/dl/keizoku-02.pdf

2.3.2 郵送提出の方法

・必要書類を準備
・郵送用封筒に書類を封入
・指定の宛先へ送付

申告書に受付印が必要な場合は返信用封筒を忘れないようにしましょう。
問い合わせがあるかもしれないので、提出前に必ず提出する書類の控えを保存しておきましょう。

3. 年度更新の計算方法

3.1 労働保険料の計算

3.1.1 賃金の範囲

労働保険料を計算する際には賃金の範囲を正確に把握することが重要です。賃金には以下のような項目が含まれます。

  • 基本給
  • 残業手当
  • 通勤手当
  • その他の手当

賃金に含まれないものもありますので注意しましょう。

参照:厚生労働省 労働保険対象賃金の範囲
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/kakikata/dl/keizoku-07.pdf

3.2 労働保険とは労災保険と雇用保険

3.2.1 労災保険料

労災保険料は全額を企業が負担します。
雇用保険に加入していないパート・アルバイトの方も含まれます。
労災保険料の率は業種によって異なるため、高リスク業種はより高い料率が設定されています。
例えば、建設業などの高リスク業種は他の業界に比べて高い料率が設定されることがあります。

3.2.2 雇用保険料

雇用保険料は労働者の年間の賃金総額に基づいて計算されます。
雇用保険に加入していないパート・アルバイトの方がいる場合は、労災保険の計算に使った人数や賃金の額とは異なってくるので注意しましょう。

4. 年度更新の注意点

4.1 期限

4.1.1 提出締め切り日

年度更新の提出は、例年6月1日から7月10日までと定められています。(今年は土日の関係で6月3日~)

4.2 間違いやすいポイント

4.2.1 労働者数の算出誤り

労働者数の算出が正確でないと労働保険料の計算に誤りが生じます。特に、パートタイムやアルバイトなどの方の扱いに注意が必要です。正確な労働者数の算出方法については、
参照:厚労省 労働保険対象者の範囲
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/kakikata/dl/keizoku-06.pdf
を参考にしてください。

5. まとめ

年度更新は、労働保険に加入する企業・事業主が毎年度行う重要な手続きです。
手続きの流れや必要書類、電子申請の利用方法などを事前に確認しておくことでスムーズに手続きを進めることができます。また、労働保険料の計算方法や注意点を把握して、計算間違いや提出遅延を防ぐことが重要です。正確な情報を元に年度更新を行い、安心して従業員の方が働ける環境を整えましょう。
当事務所ではスポットでのご依頼も可能です。お気軽にお問い合わせください。

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伊藤 明子

大学卒業後、都市銀行本店営業部に配属。学生時代に税理士を目指していたこともあり税理士法人へ転職。育児専念期間中にファイナンシャルプランナー取得。その後別の税理士法人に勤務しながら社会保険労務士資格を取得し、2022年4月開業。 FMパーソナリティとして番組を持ち、人事労務についてなるべく専門用語を使わずわかりやすくを心掛け発信中。